塩山探検ルポ>>タタミワールド

タタミワールドルポ その1
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     い草や畳の需要を高めるために斬新な手法を取り入れているタタミワールド。キラリと光るアイディア商品の数々、新しいマーケティングの取り組みも探ってみた。    
     
    ▼い草・トルマリングッズ    

タタミワールドが開発・販売している「い草グッズ」

トルマリンシーツをイオン検知器にかざすと針が勢いよく振れる

   

 タタミワールドが取り扱う商品を見てみよう。

 い草グッズの小物では、独自開発のマウスパッドパームレストが光る。暖かみがあり、パソコン作業が楽になるという。

 一方、大きいものでは「置き畳」がある。フローリングの床に置くだけで、和室の趣を得られ、保温効果やクッション性が期待できるという。

 そして、一風変わった新開発商品は「トルマリングッズ」。
 トルマリンはマイナスイオンを放射し、細胞を活性化させる働きをもつといわれる天然の宝石である。マイナスイオンはトルマリンを細かく砕いて圧迫すると大量に出てくるといわれ、この性質を利用し、珪藻土(けいそうど)とミックスして圧着したシートを開発。

 このトルマリンのシートを使った実験もタタミワールドのWebに掲載されている。桃を使い、腐食する過程を比較レポートしたものだが、まるで昔の「ピラミッドパワー」のような実験。その顕著な効果に、自ら実験した中村さんも「嘘みたいで怖いですよ」と笑う。
 このシートには遠赤外線効果もあり、リウマチや腰痛、冷え性が快方に向かったユーザーの報告もあるとか。

 販売されているトルマリンシーツは縦180cm×横90cmの大きさで5000円。自分好みに切れるため用途の幅は広い。
 このシートを利用した靴の中敷きもあり、筆者も試用してみた。確かに温かく感じる。モニターアンケートでは、冷え性や足の臭いなどが気になる人達から、好感触の回答が多数寄せられている。

 

 

トルマリンシーツを活用した靴の中敷き


 

    ▼クリックス&モルタル型ビジネス    

事務所でPCを操作する

 

 

  インターネットを使った物販やサービス提供(クリックス)と通常の店頭販売(モルタル)をミックスさせた「クリックス&モルタル」型のビジネスを展開する企業が増えてきた。
 タタミワールドではITでの「クリックス」を先行展開させており、これから情報化を進めようとする会社の参考になるだろう。

 塩山市内でもにわかに注目を浴び、同社代表の中村浩二さんは今年9月20日に同市商工会の講演会「中小企業のためのホームページの上手な活用法」を行った。パソコンでプレゼンテーションソフトを使ったスライドショーで、わかりやすい解説。約30人の参加者や商工関係者達を唸らせていた。

 IT化は「早く、小さく」進める(スタートアーリー、スタートスモール)のがいいのではないか、と中村さん。走っているうちに顧客とのコミュニケーションの図り方やセキュリティの問題などに直面し、体力が自然と身につく。

 タタミワールドでは、単にホームページを開いただけでは無く、ダイレクトメール通知やアンケート集計などのサービスもきめ細かい。
 口コミ的な広がりを期待する新しいマーケティング手法「バイラルマーケティング」も取り入れられているという。

 同社のこれからの課題は、モルタルの形態。最近、近所の床屋さんに飛び込みで営業をし、トルマリングッズをPRしてきたという。
 「2件目ですんなりと取引成立したので、これはイケルと思いましたが、そのあと10件以上すべてボウズでした。営業の難しさを実感しましたね」と振り返る中村さん。

 

 

塩山市商工会での講演会

    ▼素顔に迫る    
温かく見守る母の恭枝さん      

 こんなにたくさんのアイディアとバイタリティある中村浩二さんは、どんな人なのだろうか。素顔も紹介したい。

 中村さんは学生時代に専攻した『戦略経営』を元にビジネス展開しているという。『戦略(のための)経営』と『経営(のための)戦略』とは別物だとか。かなりの勉強家だが「大学受験で4浪した時には、(人生が)終わったかと思いましたよ」と振り返る。

 東京の会社に就職後、2年前に塩山にUターン。故郷の畳屋では「明日の予定は明日の朝決めること」と考える職人気質の父親のやり方を「1年後のスケジュールまで決めて行動」と改めた徹底ぶりである。母親の恭枝さん(67)も、浩二さんの開発商品を口コミで宣伝し、さりげない協力をしている。

 今年は、塩山市公式メールマガジンの創刊にも尽力し、かなりの経営資源を提供した。

 タタミワールドの売り上げも順調に伸び、3期目の2003年からは本腰を上げたビジネス展開を視野に入れているという。「畳屋なんて実際は3K(きつい、汚い、危険)ですよ。夏の職場は40度にもなり、立っているだけで汗が噴き出します。30キロ以上ある畳をエレベーターなしの建物の5階まで運んだこともありますから」と自嘲するが、畳の良さを伝える使命感は、人一倍強い。無数のアイディアを実現するために東奔西走の毎日である。
 どうやら今のところ「仕事が恋人」の様子。理屈を超え、何もかも捨てて、生涯の伴侶の手を引く時はいつか。本人以上に周囲が心配してくれているようだが...。

 

タタミワールド
http://www.tatami-world.com/

(完)

  厳しい目の父、由雄さん

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