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タタミワールドルポ その1
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     畳表の『い草』が輸入物に押されている。
 い草生産者の自殺・夜逃げなど、この業界では悲劇が繰り返されているという。このピンチを脱するために必要なこと、できることは何か。
   
     
    ▼危機にさらされる国産の畳表    

中村畳工業所で扱う国産のい草。手前から最高級品が並ぶ。
 

   

 タタミワールドの中村浩二さんは、2000年に父の由雄さんとともに全国を飛び回り、い草の生産農家や、い草を加工する製織(せいしょく)業者などとふれ合った。
 その道中で、い草の生産・加工に従事する人たちの危機を目の当たりにしたという。

 い草が輸入物に押され、深刻な事態になっているのである。

 い草は、生しいたけ、ネギとともに、平成13年に200日間の暫定措置として、セーフガード(割安な外国産の輸入増加に対し、政府が一定の期間、輸入量の制限や関税の引き上げで国内生産を保護できる緊急措置)が発動された。短期的には生産者を保護したが、その効果は小さかった。

 畳表について、平成8年から12年までのセーフガードに関する政府調査の状況を見ると、国内生産量は半減、逆に輸入量は倍増、占有率はついに輸入物が過半数になった。
 国内生産者の所得は4年間で約4分の1に激減。まさに黒船来襲である。
 数字を見るだけで悲惨な状況が伺える。

 実際、ここ数年に生産者の中で、い草の値段が下がったために自殺や夜逃げを余儀なくされた人の話も耳に入れた、という中村さん。

 畳表のい草について、栽培から加工などについてのわかりやすい解説が、タタミワールドのホームページに掲載されている ので、どんな人たちが関わっているのか参考にしてほしい。
http://www.tatami-world.com/nyumon/nyumon_04.html

http://www.tatami-world.com/nyumon/nyumon_05.html
 

 

 

い草生産の本場:熊本へ、中村親子の2人旅(2000年)


 

    ▼国産の畳表の良さ    

 

 

 

 なぜ、い草が輸入物に押され、国内生産者が苦しんでいるのか。

 い草の輸入物と国産を使った畳表の違いを見てみよう。
 まず、価格は輸入物が断然安い。数百円VS数千円の戦いである。

 それに反して、品質は国内産が断然高くなる。
 輸入物の畳表は、使って1年も過ぎると表面が毛羽立ってきてしまう。
 国内産は、長ければ10年以上持ち、畳表を裏返せばさらに倍の寿命になる。
 肌のキメの細かさも段違いである。輸入物の畳表を見たあとに国産の最高級品を見れば一目で『仕事が違う』と感動できる。
 高級品には右の画像のような認定証がつくので、これなどを参考にして安心できるものを選ぼう。

 さて、厳しい現実は以下の通りである。

●昨今のデフレ状況で、消費者が価格に過剰反応し、安い物に目が行くようになる。
●これで『畳は寿命が短く、すぐにダメになる』とのイメージが広がり、
●フローリングへのリフォームが進み、和室が減少、
●これに加え、生活者のダニやカビなどの悪いイメージが祟る...

 などの要因が絡み、畳ばなれの悪循環になっているという。

 タタミワールドでは、業界再編のために、以下のような好循環モデルを考案している。

●生活者に畳の良さを知ってもらい、少量高品質型の畳も選べるようにし、
●価格競争から技術競争への転化を図り、畳職人の良い仕事を増やす。
●品質の高い畳をより多く流通させ、
消費者に『畳ってやっぱりいいもんだな!』とのイメージを広げ、
●畳や和室の需要を高める。



 タタミワールドは、具体的にどのようなアクションを起こしているだろうか。
 ホームページでは『町の畳屋さん』というコーナーで、良い素材と高い技術力を持っている各地の腕利き畳屋さんの情報を掲載している。
http://www.tatami-world.com/machi/machi_index2.html

 このほかにも、新商品開発などにも意欲的に取り組んでいるようだ。
 ネットビジネスも絡めて、そのあたりも探ってみたい。
 

タタミワールド
http://www.tatami-world.com/
 

つづく

 

最高級の畳表には認定証がつく。生産者名も確認でき、安心できる。

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